会社を辞めると決めたものの、

「どう伝えれば揉めずに辞められる?」
「退職理由は正直に話したほうがいい?」
「上司に引き止められたらどうすればいい?」
と悩む人も多いのではないでしょうか。
会社を円満に辞めるためには、できるだけ会社側と揉めず、退職日までスムーズに手続きを進めることが重要です。
特に退職交渉では、社員を辞めさせたくない会社側・上司に対して、退職の意思を明確にしつつ、なるべく穏やかに話を進めることがポイントになります。
この記事では、会社を円満退職するための退職理由や伝え方、退職交渉で押さえておきたいポイントについて解説します。
また、どうしても退職を認めてもらえない場合の対処法についても紹介します。
- 円満退職を目指したほうがいい理由
- 円満退職しやすい退職理由
- 会社を円満に辞めるための5つのポイント
- 退職を伝えるタイミングや伝え方
- 引き止められた場合の対処法
- 退職を認めてもらえない場合の相談先
会社を円満に辞めたほうがいい理由・メリット

まず、会社を円満に辞めたほうがいい大きな理由は、退職までの手続きがスムーズになりやすいからです。
面倒な上司や相性の悪い相手がいたとしても、できる限り相手の感情を逆なでせずに退職交渉を進めたほうが、退職日や引き継ぎ、必要書類のやり取りなども円滑に進みやすくなります。
また、退職を伝えてから実際に会社を辞めるまでには、ある程度の期間があります。
その間ずっと気まずい状態で働くよりも、なるべく良好な関係を維持できたほうが自分自身も楽でしょう。
「どうせもう辞めるから関係ない」
とすべてをぶち壊してしまうより、最後まで最低限の関係性を保っておいたほうが、後味も良くなります。
同じ業界内で転職する場合には、今後どこかで元同僚や取引先と関わる可能性もあります。
その意味でも、可能な範囲で円満退職を目指しておくことにはメリットがあります。
ただし、円満退職することと、会社側の要求をすべて受け入れることは別です。
無理な引き止めや不合理な要求まで受け入れる必要はありません。
円満退職しやすい退職理由とは?

退職理由は、円満退職を目指すうえでかなり重要です。
実際には、
- 給料が低い
- 人間関係がつらい
- 上司と合わない
- 残業が多い
- 仕事内容がつまらない
- 評価に納得できない
などの理由で辞めたい人も多いでしょう。
しかし、それをそのまま全部伝えてしまうと、会社側もいい気持ちはしません。
さらに、
「給料を上げるから」
「部署を変えるから」
「残業を減らすから」
と、引き止める材料を与えてしまう可能性もあります。
そのため、すでに退職すると決めているのであれば、前向きで会社側が引き止めにくい理由に整理して伝えるほうがスムーズです。
例えば、
- 現職では経験できない仕事に挑戦したい
- 新しい職種でスキルアップしたい
- 将来やりたい仕事が明確になった
- 家庭の事情で現在の働き方を続けられない
- 転居する必要がある
などがあります。
嘘の退職理由を作る必要はない
ただし、
「家族の介護」
「体調不良」
など、実際には存在しない事情をわざわざ作る必要はありません。
細かい設定を作るほど、質問されたときに話が破綻する可能性もあります。
会社への不満を全部話す必要もありませんので、
「今後のキャリアを考えた結果、別の環境に挑戦したいと考えました」
程度でも十分です。
重要なのは、退職理由そのものより、
「よく考えたうえで退職すると決めた」
という意思を伝えることです。
会社を円満に辞めるための5つのポイント

ここからは、実際に退職を伝える際に押さえておきたいポイントを紹介します。
①ポジティブ・前向きな退職理由で伝える
円満退職を目指すなら、退職理由はできるだけ前向きな形にしたほうが無難です。
例えば、
「今の会社が嫌だから辞めます」
よりも、
「これまでの経験を活かして、別の分野にも挑戦したいと考えています」
と伝えたほうが印象は良くなります。
本音では会社への不満が大きかったとしても、それを退職交渉の場ですべて伝えるメリットはあまりありません。
むしろ不満を細かく話すことで、
「それなら改善するから残ってほしい」
と、交渉が長引いてしまうこともあります。
すでに辞めることを決めている場合は、会社への不満ではなく、今後どうしたいかを中心に話すのがおすすめです。
②退職希望日は繁忙期を避ける
可能であれば、退職日は繁忙期を避けたほうが円満に進みやすいです。
業界や職種によって繁忙期は異なりますが、会社側からすると一番忙しい時期に人が抜けるのはかなり痛手です。
「なぜ今なんだ」
と反感を買ってしまう可能性もあります。
また、忙しい時期は通常業務に追われてしまい、
- 引き継ぎ
- 後任者への説明
- 取引先へのあいさつ
- 退職手続き
なども進めにくくなります。
自分である程度退職時期を調整できるのであれば、
繁忙期が始まる前に辞めるか、繁忙期が終わった後にする
というのが理想です。
ただし、心身に強い負担がかかっている場合など、無理に繁忙期が終わるまで我慢する必要はありません。
③退職理由はなるべく引き止められにくいものを
円満退職を目指すなら、
「会社側が条件を変えても解決できない理由」
のほうが話は進みやすいです。
例えば、
といった理由です。
一方で、
という理由だけだと、
「給料を上げる」
「部署を変える」
「上司を替える」
と引き止められる可能性があります。
すでに退職意思が固まっている場合は、
「この会社を辞めないと実現できない理由」
を中心に話したほうが良いでしょう。
④退職交渉は早めに始める
円満退職を目指すのであれば、退職希望日の直前ではなく、余裕をもって伝えましょう。
期間の定めのない雇用契約の場合、法律上は原則として退職の申し入れから2週間で労働契約が終了するとされています。
●参考・退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省
ただし、就業規則に、
「退職希望日の1か月前までに申し出る」
などの手続きが定められている会社もあります。
厚生労働省も、合理的な退職手続きが就業規則に定められている場合は確認するよう案内しています。
●参考・ろうきょうガイドブック|厚生労働省
円満退職を目指すなら、法律上の最低ラインだけを見るのではなく、
1~2か月程度前を目安に相談を始める
くらいの余裕があると、引き継ぎも進めやすいでしょう。
まずは自分の会社の就業規則を確認しておくのがおすすめです。
⑤退職の意思は曖昧にしない
最後に重要なのが、退職の意思をはっきり伝えることです。
「辞めようか迷っています」
「退職したいと思っているのですが……」
という相談の形で伝えると、会社側からすると、
「まだ説得すれば残ってくれるかもしれない」
と受け取られます。
すでに意思が固まっているのであれば、
「○月○日をもって退職したいと考えています」
と具体的に伝えるほうが話は進みやすいです。
もちろん、喧嘩腰になる必要はありません。
感謝を伝えながら、
「いろいろ考えた結果なので、退職の意思は変わりません」
と一貫した姿勢を保つことが大切です。
退職は誰に・どうやって伝える?

退職すると決めたら、基本的にはまず直属の上司へ伝えるのが無難です。
同僚や先輩に先に話してしまい、そこから上司の耳に入ると、
「なぜ先に自分に言わなかったのか」
と関係が悪くなる可能性があります。
可能であれば、
「少しご相談したいことがあるのですが、お時間いただけますか」
と時間を取ってもらい、人目の少ない場所で退職の意思を伝えましょう。
メールやチャットだけで済ませるより、通常は直接伝えたほうが円満に進みやすいです。
ただし、上司から威圧的な対応を受けているなど、対面で話すことが難しい事情がある場合は無理をする必要はありません。
退職を伝えるときの例文

実際にどう切り出せばいいか迷う人も多いと思います。
例えば、次のような伝え方で十分です。
お時間をいただきありがとうございます。
今後のキャリアについて考えた結果、別の環境で新しい仕事に挑戦したいと考え、退職を決めました。
○月○日をもって退職したいと考えています。
ご迷惑をおかけしますが、引き継ぎについては責任をもって対応します。
ポイントは、
感謝 → 退職理由 → 退職希望日 → 引き継ぎ
の順に簡潔に伝えることです。
長々と言い訳をする必要はありません。
退職後の引き継ぎも円満退職には重要

退職が決まった後は、できるだけ丁寧に引き継ぎを行いましょう。
具体的には、
- 担当業務の一覧
- 毎月・毎週行う作業
- 取引先の連絡先
- 業務上の注意点
- ファイルの保存場所
- 現在進行中の案件
- 今後発生する予定の作業
などを資料にまとめておくと、後任者も困りにくくなります。
引き継ぎをしっかりしておくことで、
「最後まで責任を持って仕事をしてくれた」
という印象も残しやすくなります。
退職を引き止められた場合は?

退職を伝えると、
「もう少し考えてくれないか」
「待遇を改善するから残ってほしい」
「今辞められると困る」
などと言われる場合があります。
ここで重要なのは、
会社側の提案によって、自分が退職したいと思った原因が本当に解決するのか
ということです。
例えば給料だけが不満で、希望どおり改善されるなら残る選択肢もあります。
しかし、
- 仕事内容が合わない
- 業界を変えたい
- 会社そのものを離れたい
- 働き方を変えたい
という場合は、待遇改善だけでは根本的な解決にならないでしょう。
引き止めへの具体的な断り方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
どうしても退職を認めてもらえない場合は?

何度伝えても、
「退職は認めない」
「後任が見つかるまで辞めさせない」
「退職届を受け取らない」
と言われる場合もあります。
期間の定めのない労働契約であれば、会社の同意がなければ必ず退職できないというものではありません。
大阪労働局も、無期雇用の場合は民法上、解約の申し入れから原則2週間で労働契約が終了すると案内しています。
●参考・よくあるご質問(退職・解雇・雇止め)|大阪労働局
厚生労働省も、「後任を連れてこないと退職を認めない」といった条件があっても、無期労働契約で退職の申し入れを行えば、原則として2週間後に契約を終了できると説明しています。
●参考・e-ラーニングでチェック!今日から使える労働法~
ただし、契約社員など期間の定めがある労働契約では扱いが異なります。
有期契約では、原則として契約期間中の退職には「やむを得ない事由」が必要となる場合があります。
●参考・退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省
そのため、トラブルになった場合は自己判断だけで進めず、公的な窓口へ相談したほうが安心です。
相談するなら総合労働相談コーナー
退職に関するトラブルは、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどで相談できます。
会社が退職届を受け取ってくれない、脅されている、損害賠償を請求すると言われたなど、自分だけで対応するのが難しい場合は相談を検討しましょう。
退職代行サービスを使う方法もある
上司と直接やり取りすること自体が難しい場合には、退職代行サービスを利用する方法もあります。
ただし、退職代行は、
- 民間企業
- 労働組合
- 弁護士
など運営主体によって対応できる範囲が異なります。
料金だけで決めるのではなく、運営元や対応内容まで確認して選ぶことが重要です。
以下の記事で弁護士による退職代行サービスをご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
円満退職についてよくある質問

退職理由は本音を全部話したほうがいい?
すべて話す必要はありません。
会社への不満を細かく説明しても、それが円満退職につながるとは限りません。
すでに退職すると決めている場合は、
「今後のキャリアを考えて決めました」
など、必要最低限の説明でも問題ありません。
退職を伝えるのは1か月前で大丈夫?
会社の就業規則をまず確認しましょう。
円満退職を目指すのであれば、引き継ぎ期間も考えて1~2か月程度余裕を持って伝えたほうがスムーズです。
一方、無期雇用の法律上の原則については、退職申し入れ後2週間で終了するとされています。
●参考・退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件|厚生労働省
人手不足でも退職できる?
期間の定めのない労働契約であれば、人手不足や後任者が決まっていないことだけを理由に、いつまでも退職を認めないことはできません。
茨城労働局も、「新しい人が見つかるまで、いつまでも退職を許可しないことはできない」と案内しています。
●参考・退職の申出があった際には | 茨城労働局
離職票が届かなかったらどうする?
雇用保険の離職票を希望しているにもかかわらず届かない場合は、まず会社に手続き状況を確認しましょう。
厚生労働省によると、会社は退職後、離職日の翌々日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークへ提出することになっています。
会社が手続きをしない、催促しても届かない場合には、本人確認書類や退職を確認できる書類を持参し、管轄のハローワークへ相談できます。
●参考・Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~について紹介しています。|厚生労働省
まとめ|円満退職のポイントは早めの準備と一貫した意思
以上、会社を円満退職するための方法について解説しました。
円満退職を目指すうえで重要なのは、
- 前向きな退職理由を伝える
- 可能なら繁忙期を避ける
- 引き止められにくい理由に整理する
- 早めに退職交渉を始める
- 退職の意思を曖昧にしない
- 引き継ぎを丁寧に行う
という点です。
退職交渉は、社会人生活の中でもかなり緊張する場面の一つだと思います。
特に長く勤めた会社であれば、
「迷惑をかけるのではないか」
「お世話になったのに申し訳ない」
と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、自分が今後どう働きたいかを決めるのは自分自身です。
会社側への配慮はしつつも、
なぜ退職したいと思ったのかを忘れず、退職すると決めたのであれば意思を一貫させる
ことが大切です。
実際、私は以前ブラック企業を退職した際、退職後に離職票がなかなか届かず困った経験もありました。
できる範囲で円満に進めることは大切ですが、それでも会社側とトラブルになってしまった場合は、一人で抱え込まず、労働局やハローワークなどの公的窓口も活用しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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